日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年6月7日人から相談された際に意識すべきこととは?

 

★セミナー参加者からの質問


先日、私が講師を務めるセミナーの参加者から、次のような質問を受けました。

「私は管理職として部下から相談されたり意見を求められたりすることがよくあります。しかし、それらに対する回答がすぐに浮かばず、焦ってしまいます。また、あれこれと考えながら話すので、つい話が長くなります。回答した後でも『ああ、あれも言っておけばよかった』と思うことが度々あります。どうしたらよいでしょうか。」

部下からの相談などにきちんと答えようとして、「これで伝わったかな?」「こういう説明の仕方もした方がよいかも」などと考え、あれもこれも話してしまい、結果的に話が長くなってしまう。こういう人は少なくないように感じています。

では、相談された際に適切に答えるにはどのようにしたらよいのでしょうか。


★質問をする


相談の内容や置かれている状況などによって適切な答え方は違ってきますが、私は主に2つのことを意識して答えています。

1つ目は、いきなり答えずに質問することです。
私は人から相談されると、まず思いつく限りの質問をします。
「それはいつ?」「相手はどういう人?」などの具体的な情報から始めて、「それはなぜそう思うの?」「もしこんな状況だったらどう判断する?」「あなたは相手がどう思っていると思うの?」など、相手が気付いていないと思われる領域や事柄について聞いていきます。

質問をする目的は2つあります。

 
◎相談の意図を的確に掴むため

1つは、相談の意図を的確に掴むためです。
相談する人がいつも自分の悩んでいること、解決したいことを適切に話しているとは限りません。重要な事実が抜けていたり、感情などの表現が適切でなかったりすると、相談される方は話の全体をきちんと捉えることができないまま答えてしまうことになります。なので、相談事の背景を適切に把握するためにまず質問をして認識に齟齬がないようにしています。

 
◎自ら気付いてもらうため

質問する目的のもう1つは、相談している人に自ら解決してもらうためです。
相談を受ける場合、よくあることは相談する人が判断するのに必要な要素を検討せずに悩んでいることです。これしかない、と思い込んでしまっているものの、少し俯瞰的に考えると別の方法もある、ということはよくあることです。なので、本人が気付いていないところに気付かせてあげるために質問をします。そうすると、こちらが意見を言わなくても相談してきた人が自分で納得する結論にたどり着くことも少なくありません。これは人財教育の上でも大切なことです。相談をされていつも答えを教えるだけでは、相談してきた人はいつまで経っても成長しないでしょう。自ら考えさせることでレベルアップが期待できるのです。

 

★言いたいことを短い言葉で表す


私が相談を受けた際に意識していることの2つ目は、伝えたいことの主旨を短い言葉でまとめることです。
例えば、「今度の役員会資料、これでいいでしょうか」と相談されたなら、「論点を具体的にすべき」という言葉を頭に浮かべながら、「この資料で何をしたいのかを明確にした方がいいよ。残業の実態だけを書いているけど、これを踏まえた上で、残業を減らす策を検討したいのか、残業実態をより的確に把握する策を検討したいのか、など議論して欲しいことを具体的にすれば、生産的な会議に出来ると思うよ」とアドバイスします。相談に限らず、話す際には自分の伝えたいことをクリアにすることはとても大切です。ぜひ意識してください。

また、私は質問をする際にも自分の意見を言う場合でも、相手の悩んでいるという事実や話していることを肯定的に受けとめることに気をつけています。そうすることで、相手は安心して話をしたり私の話を聴いたりすることができると思っています。

 

★コミュニケーションの取り方を学びましょう!


日本話し方センターのベーシックコースでは、話の仕方だけでなく人と良好なコミュニケーションを取る方法についても具体的にお伝えし、実習でトレーニングをしていただいています。その効果は多くの受講生が実感されています。ぜひご受講ください!

 
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